久々に読書で徹夜しました。
結末が気になって最後まで一気に読んでしまいました。
直木賞受賞作品なだけあって、たとえ賛否両論だとしても
納得できる部分も多いと思います。
理系出身の作家が書くミステリーなので、理系の人は特に読みやすいのでは
と思います。あくまでも文転した元理系の意見ですが。
ちなみにネタバレ投稿となっています。
【あらすじ】
離婚した夫にしつこく付きまとわれいた花岡靖子は、娘と共に彼を殺害してしまう。
その時靖子に声をかけてきたのは、アパートの隣室に住む高校の数学教師・石神だった。『自分に任せておけば全てが上手く行く。』そう説得する石神。
靖子を守るための完全犯罪がここで始まる…。
◆良かったところ◆
あくまでも私見ですが、
非現実的な設定が次々とあらわになるにも関わらず
登場人物たちが非常にリアルなのがこの本において最も共感できる部分でした。
頭脳戦でもあるこの話は、どこか自分の生活と照らし合わせると「ないなぁ」
と思ってしまう部分があるのですが、そんな中で現れる人物はみんな
とても人間らしい行動や考えをしています。
石神にしても、湯川にしても、靖子にしても。
犯行のトリックや
ラスト数ページのどんでん返しはどうやら東野氏特有のスタイル
みたいですが(私はこの本が初めてなので今後知ることになるでしょう)、
私はそれよりも
人物の設定に魅力を感じました。
人物あっての物語、なのだと感じました。
最後の最後になるまですべてが明かされない→故にラストまで一気に
読まないと気がすまない、というのは東野氏のスキルなのでしょう。
トリック自体は実際は半分驚き、半分タイトルでなるほど、と納得したり。
表紙が石神をうまく表現していると思います。
◆石神について◆
多くの読者は彼に感情移入していると思います。私も例外でなく。
だからこそラストが切なく感じます。
彼はどことなく人気漫画
「Death Note」の主人公、
夜神月を思い出させます。
神になろうと殺人を繰り返した月(ライト)。
完全犯罪を貫いて己の中での勝利を貫こうとした石神。
状況や設定はいろいろ違えど、本質的なところが似ている気がします。
人間であるが故にやはり最後には失敗してしまうところまでも。
私見ですが、私の中で決定的にこの2人が違うのは、
石神には感情移入していたけれど、ライトにはしていなかった点です。
(Death Noteに関してはライト派な人も多いとは思いますが…)
故に「Death Note」はすっきりしたのに対し「容疑者X…」は切ない。
物語の中の誰に基準を置くかで物語に対する大まかな感情も変わるもの
なんでしょうか。「容疑者X…」に関していえば湯川の動きもよく伝わって
くるので、余計に切なさが増しているのかもしれません。
そしてこれもあくまでも私見ですが、容姿は別として私は
靖子の見せる行動からは
その魅力をあまり見いだすことが出来ませんでした。
ホステス経験があり、贔屓されていたお客もいたことからその人柄は
ある程度伺えますが、それでも終始石神がどうしてそこまで魅力を感じたのかは
分からないまま終わってしまった気がします。
しかし逆に言うと、
行動からは読み取れないような部分に惚れたのであれば、
それはむしろ
直感的なものであり、本能に近いとも言える気がします。
靖子の魅力に疑問を感じる人もいたとは思いますが、私はむしろそのほうが
自然な気がします。
人が好きになる理由なんてたいていは説明しきれないことが多いもので、
石神の場合も例外ない状況だったんだな、という非常に人間っぽい一面が
見れた、と個人的には捉えています。
少々極端な形のものであることは否めませんが…。
あまりまとまりのない文章になってしまいましたが、思いつくことを
パラパラと書いてみました。
東野圭吾のほかの作品も少しあさってみようと思います。
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⇒ あさ (10/09)
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⇒ Inaba (01/15)
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